自閉スペクトラム症ASD
近年、"発達障害"や"自閉スペクトラム症(ASD)"という言葉を耳にする機会が多くなってきました。
"発達障害"というと一般的には広い概念で、幼少期に診断される知的能力障害を合併する古典的な自閉症、注意能力低下や衝動性を特徴とする注意欠如多動性障害、読み書きができないなどの学習障害、コントロールできない突発的な発声などを特徴とするチックなどを含みます。
"自閉症スペクトラム症(ASD)"も発達障害の一つであり、社会において人間関係を発展・維持させることができない、コミュニケーション上の問題が多い、興味や行動が著しく偏っている、儀式的な行動にこだわり変化に対応できない、感覚が異様に鋭いもしくは鈍いといった特徴をもった障害をさします。
幼少期に診断される古典的な自閉症と異なり、ASDの場合、社会に出てからコミュニケーションの問題で孤立したり、こだわりのために仕事に支障が出たり、周囲とトラブルを起こししまうなどの社会生活に障害が生じASDも発達障害の一部であるため、幼少期から何らかの特性を有しているのですが、子供の頃には生活に支障が出るほどには症状が目立たず、大人になるまで見逃されているケースが多いとも言えます。
さらに、その状況から二次的に不眠・不安が生じてくることがあり、それが受診のきっかけや診断の契機となります。いわゆる「大人の発達障害」と呼ばれるのがこのパターンです。
発達障害やASDでは脳にどのような変化が起きているかはまだまだわかっていないことも多いです。治療については、注意欠如多動性障害やチックについては一定の効果を示す薬がある一方で、ASDは特に有効な薬物療法はないのが現状です。
当院ではASDに限らず広く発達障害全般の診断と必要な治療について相談ができます。「自分は発達障害かもしれない」とお悩みになる方が多いですが、どこまでが特性でどこからが障害かは非常に難しいところです。しっかりと現在の状況を整理し、心理テストなどの結果と総合して診断について検討していきます。必要に応じて大学病院と連携し専門的かつ高度な検査を受けることも可能です。症状や状況に合わせてできることが何かを一緒に考えていきましょう。